空っぽ四国の水がめ 雨待つ早明浦ダム


2005年 8月20日 (土) 02:46

 四国の吉野川上流にある高知県の早明浦(さめうら)ダムは19日、深刻な水不足で生活用の貯水(利水)がゼロになり、湖底がむき出しになった。

 四国地方整備局は同日夜、底に残る発電用の水の緊急放流を開始。同ダム依存度が高い香川、徳島両県はこの放流で水道水を確保する。1カ月はしのげる計算 だが、香川の5市13町は水道の水を出にくくする減圧給水を実施し、徳島は吉野川を水源とする4市8町に10%の節水を要望した。

 早明浦ダムの利水貯水率ゼロは、大渇水といわれた平成6年7月以来2度目。気象庁の予報によると、20日の四国地方は雨が降りやすいという。   (産経新聞平成17年8年20日)

稲作への影響懸念 早明浦ダム渇水、農業用水不足深刻に

  極度の少雨で吉野川上流の早明浦ダム(高知県)の利水容量が二十日にも底をつく見通しとなり、流域の稲作への影響が懸念されている。農業用水の供給量が絶対的に不足するためで、かつてない異常渇水に関係者は頭を悩ませている。

 徳島県河川企画室によると、ダムの利水容量がゼロになれば、吉野川には自然流量しか流れない。上水道確保のため、電源開発(本社・東京)が水利権を持つ ダムの発電専用容量を緊急放流することが決まっているが、それでも川の水位は通常に比べ四〇−五〇センチ下がるとみられている。

 その影響で、自然な流れによって取水している麻名用水(取水口・吉野川市川島町)では、水が流入しなくなる可能性が高い。石井町の同用水土地改良区(以 西義弘理事長)によると、用水を利用する農家は吉野川市、石井町合わせて約三千二百五十戸。大半の農家がまだ稲作に水を必要としており、取水がストップす れば、千四百五十ヘクタールのうち、最低でも約五割の水田に影響が出るという。

 同改良区は「まだ色づいていない稲穂は水がなければ実が入らない。エンジンポンプで独自の取水対策も考えているが、とても量が足りない」と悲鳴を上げている。

 県西部でも水田の水不足は深刻さを増している。田植えが比較的早い下流域に比べ、上流域では多くの水田でまだ水が必要。県農地整備課は「用水を利用できる地域を日替わりで限定するシステムも取る予定だが、最終的な被害は全く予想がつかない」という。

 一方、生活用水、工業用水について、県は「節水努力の範囲で現状を維持できる」とみている。

あすから緊急放流 穴内川・大橋両ダム、県要請で四電了承

  吉野川上流の早明浦ダム(高知県)の異常渇水問題で、徳島県は十八日、吉野川水系の穴内川、大橋両ダム(いずれも高知県)の緊急放流を、ダムを所有している四国電力に文書で依頼した。四電は要請通り、二十日から放流を始める。

 穴内川ダムは発電用の貯水のうち、四電との取り決めで渇水時に県が利用できる七百六十万トンから毎秒二トンを補給。大橋ダムからは、ダム地点での自然流量を四割り増しにする水(十八日現在で同約一トン換算)を流す。

 四電などによると、穴内川ダム分は最大四十三日間、大橋ダム分は同百三十日間それぞれ補給できる計算で、いずれも徳島用水で活用する。

 両ダムの緊急放流は、それぞれ一九八三年と三九年に、県と四電が取り交わした覚え書きに基づく対応。穴内川ダムからの補給は九四年以来六度目、大橋ダムからは六七年以来二度目となる。

 国土交通省四国地方整備局によると、早明浦ダムの貯水率は十八日午後六時現在2・0%(平年値82・6%)にまで落ち込み、降雨がなければ十九日深夜にも底をつく見通しとなっている。(徳島新聞)

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