乾きの夏日に日に深刻
あと四日水田四千fの命綱 岩手日報S48/7/21

 全県下を襲っている干ばつ被害は日に日に深刻化。紫波郡紫波町、矢巾町、稗貫都石鳥谷町の水田四千fを潤す山王海ダムが、ついに渇水状態となって時間給水の最悪事態に陥ったほか、陸前高田市では水稲二fが水不足による塩害で枯死した。また花巻市の部分依然として続き、みちのくコカ・コーラポトリング会社花巻工場は節水に協力するため操業を中止した。
水面下15bの湖底も干上がった山王海ダム。後方は19bも脚が露出した取水塔

 紫波郡紫波町の山王海ダムも日照り続きのため、ついに渇水状態に陥り、山王海士地政艮区(咲山政治理事長)は南、北、中央の三幹線を一日交代で給水をストップする緊急措置に踏み切った。このまま雨が降らないとすると二十四日で底をつき、今月末には紫波町全域と矢巾町の一部、稗貫郡石鳥谷町の合計四千四十四fの水田に地割れが生じることは避けられないピンチに追い込まれている。

 同ダムの異常渇水は昭和二十八年にダムが完成して以来のことで、幹線水路を時間送水にしたのも初めて。満水時には九百五十九万dの貯水量を誇る同ダムもダム最底部の滝名川跡だけ残して干上がっている。また水深二十九bの取水塔下部は二十日現在で十bを割った。

 水稲が最も水を必要とする時期だけに山王海ダムの時間送水の知らせに受益農民たちはヒエ抜きの手を止めては深刻な表情で空を仰いでいる。

部分断水続く〜コカ・コーラは操業中止  花巻
 水不足のため、上水道の部分断水を続けている花巻市は、二十日も浅沢、本館、宮野日、下似内の四地区(五百十世帯、千九百六十人)を、午前八時から午後六時まで断水、市民は水ききんにあえいでいる。市渇水対策本部(本部長藤田万之助助役)では、水が十分確保できる間、当分部分対策を続けざるを得ないとして二十日午後、対策会議を開き二十一日も諏訪、大谷地、山ノ神、成田、桜町一,二、三、四丁目、南城地区(五百九十四世帯、二千五百二十一人)、ニ十二日は材木町、若葉町、北方丁目、南方丁目地区(四百九世帯、二千六百二人)=いずれも午前八時から午後六時まで=の部分断水を決めた。

一方、大量に水を使用している同市城内のみちのくコカ・コーラボトリング会社花巻工場(瀬川晃工場長、従業員百三十人)は、節れに協力して、十八日午後から二十日まで全面的に操業を中止している。

 同工場は二十一日から自家水道を使用して操業を再開する。同工場では、上水道の水を二日七十d使用して日産三十万本の清涼飲料を製造していただけにかなりの打激を受けたと言っている。








































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