時代は脱ダムへ
NPOがダムを撤去    アメリカ メーン州
岩手日報2004年4月20日夕刊より

 カナダとの国境にあるメーン州内を、800kmに渡って流れるペノブスコット川。流域11のダムで同州が誇る鮭などの遡上が妨げられており、市民から生態系回復を望む声が年々高まっていた。
 5年前から連邦政府、州政府、ダムを所有する電力会社、漁業権を持つインディアンの間で話し合いを持ち、先頃4つのNPO連合が3ダムを買い取ることで基本合意。
 撤去により失った電力の9割は、別のダムの発電容量を増やすことで対応。買い取る費用だけで約25億円係る見込みでNPOが連邦や州政府、起業の基金や助成金を使ったり、個人の寄付などで賄う予定という。また、インディアンも所有地の一部を手放すなどみんなが負担する。
 州政府は「自然環境や漁業の保全は優先事項だが、州政府としては財政が厳しいと当初から伝えており、各団体の協力でうまくプロジェクトを支えることが出来た」と喜ぶ。
 ダム先進国だった米国は開発の時代をほぼ終え、河川の自然回復事業に力を入れるようになった。その選択肢の一つとして、小規模ダムを中心に撤去が進んでいる
 火付け役となったのは99年に撤去された同州ケベック川のエドワーズダム。同年以降、国内ではすでに100以上のダムが撤去されている。
 エドワーズダムがあった州都オーガスタの市中心部は、川に絶滅したシャド(ニシン科の魚)が戻ってくるなど生態系の回復だけでなく、ひととか我が近くなったことによるコミュニティー復活にもつながった。
 また、カルフォルニア州のベンチュラ郡では、洪水調節と水供給用の大型(長さ189m,高さ60m)のマティリハダム撤去を計画中。こちらもNPOや市民が事業構想に意見を出すなど官民で進めている。

 今後、ダムの老朽化や環境の回復を考えたときにダムの撤去という選択肢は日本でも増えてくるかもしれない。





戻る


トップへ




inserted by FC2 system