18億円の減収
 その結果、03年度は京都府下で119万jの約3億7千方円分が地下水に移り、大阪府下で94万d分、約3億5千方円の減収となった。(中略)全国合計で540万j分、約18億3千万円の減収だった。

 こうした中で滋賀県草津市は地下水との対抗上、大口水道料金を値下げした。2カ月で6千dを超える利用分の料金を1dあたり270円から220円にしたのだ。減収は年間3千万円と見込んでいるが、経費節減などの経営努力で吸収するという。
(中略)
 そもそも水道料金は、自治体によって大きな開きがある。家庭用で月間20dを使った場合の料金は、最も高い宮城県松山町の6173円に対して最も低い山梨県富士河口湖町は700円と、9倍近い。

 松山町はダムが水源の県営大崎広域水道から水を買っている。「70年代に作った計画で想定した供給能力が1日3800dなのに、実際はその半分も使っていない。使わなくても負担をしないといけなぃので、高い水道代にはね返っている」と説明する。
 一方、水道料が低い富士河口湖町は富士山のわき水を利用して給水している。

井戸からダム
 井戸水で水道をまかなってきた山形県鶴岡市は、01年にダムが水源の県営庄内広域水道に切り替え、前後して水道料金を段階的に引き上げた。その結果、昨年は値上げ前の1・8倍になった。
 ある鶴岡市民は「水道代が高くなって流し放心で使えなくなった。冬は水
が冷たいので、バケツの湯で手を暖めながら仕事をしている」と話す。
 市内にガスを供給する鶴岡ガス一世帯あたりの使用量が1月は4%余り増え、8月は5%ほど減った。ダム水は気温の影響を受けやすい。
(中略)
 
 東京昭島市は、地下水だけで水道をまかなっている。水道料金は都営水道に「一元化」されている他市町が20dで月額2331円なのに対し、1554円。同市水道部は「良賓な地下水が確保でき、最低限の消毒だけで配水できるから安い。水源も豊富で、都営水道が渇水で困っている時でも心配ない。都水へ
の切り替えは今のところ考えていない」と話す。
 一方、東京都水道局は現在進めているダム建設などが終わると、1日680万jの水道供給ができるが、これに地下水は含まれていない。水道局は「地下水は汚染されると回復が難しい不安定な水源だ。また、くみ上げすぎると地盤沈下の心配もあるので、くみ上げを規制している。昭島市もこの点を十分に認識して地下水を活用してほしい」と説明する。


封印より活用
 これに対して茨城大学広域水圏環境科学教育研究センター長は「地下水はは許容範囲を確認しながら使わないと、汚してもよいものになる。封印したことで、ダムを造って巨大な配管をする公共事業のピジネスと結びつき、余った地下水で東京駅や上野駅が浮き上がりかねないおかしな結果が生まれている」と批判する。
 環境省は近く、大阪市を中心とした地域をモデルとして、地下水の増減や循環のあり方を確認し、地域の目的にあった使い方をするための調査を始める。




                                        
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