最上小国川ダム 流域委、穴開き工法了承 漁協らは反発
 山形県最上、舟形両町を流れる最上小国川のダム計画を検討してきた最上川流域委員会は16日、小委員会が妥当とした「穴開きダム工法」を了承した。県は流域委の報告を受け河川整備計画に盛り込み、建設事業に着手する方針。計画に対しては地元漁協が反発を強めているほか、市民グループが28日、シンポジウムを開き、ダム建設反対をアピールする考えだ。

 流域委委員長の高野公男・東北芸工大教授は6日に現地を視察した感想を述べ、「水害対策として一刻も早い治水対策が必要」「ダムはむしろ観光資源で、デザインによっては(周辺の)温泉の新たなビューポイントになる」とダム案を支持した。

 小委員会でも検討した経緯がある河川改修案について、県は「河床には温泉の源泉があり、掘ることはできない」(土木部)として事実上、ダム建設以外に選択肢はないと強調。流域委のほかのメンバーもこれを容認した。

 国土交通省の2007年度概算要求にダム建設関連事業が盛り込まれており、流域委の承認を受け「緊急な課題」(土木部)として、東北地方整備局と連携し建設を急ぐ方針。

 一方、市民グループ「最上・小国川の“真の治水”を考える会」は、今回の流域委の判断に反発。赤倉温泉(最上町)で旅館を経営する押切喜作会長は「ダム建設の考えに凝り固まっている県の姿勢を追認しただけ。治水というよりダム建設の仕事が欲しいだけではないか」と強く批判した。

 考える会は28日、新庄市で「真の治水を求めて」と題したシンポジウムを開催。菅直人・民主党代表代行らを招き、穴開きダムの問題点を指摘、代替案を提案したいとしている。

 一方、小国川漁協(舟形町、組合員1360人)の斉藤冨士巳組合長代行は「委員会がどのような答えを出しても、一丸となって川を守る姿勢に変わりはない。17日に理事会を開き今後の対応を協議するが、もし山形県が建設を強行するのであれば、訴訟も辞さない覚悟だ」と話した。

2006年10月16日月曜日 河北新報
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2006/10/20061017t51025.htm
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