岩手日報 S53/8/8

 東北地建異常渇水対策本部は七日、石淵ダムと湯田ダムの緊急放流を決めた。両ダムは今週末にも貯水位が最低水位まで下がることが予想されるが、同地建は稲作が出穂、開花期を迎えていることから、最低水位以下のわずかなたまり水″まで放流することにした。国直轄の県内ダムが緊急放流を行うのは、初めてのケースである。

 最低水位は、政令で定められており、「これ以上は下げられない」水位。石淵ダムは標高三〇〇b、湯田ダムは同二十五bとなっている。

 湯田ダムは七日現在、最低水位ぎりぎりまで落も込み八日以降は放流ストップの事態も予想されていた。

 国ダムの利水面積は和賀中央、和賀川、鬼柳、田中堰、山口の各土地改良区合わせて八千五百八十fに及ぶ一日の平均放出水量は九十九万dだが七月中旬以降は平均四二%の節水を行い、和賀川の左岸、右岸地区交代で水を利用するなどの方法をとってきた。

 最低水位以下のいわゆる死に水≠利用するのは初めてのこと。十五日まで八日間、五つの土地改良区に対し毎秒一〇.〇六d、一日合計八十三万八千八十dの水が放流される。

 湯田ダムには水面に近い温水をかんがい用水として取水するためのシリンダーダートが設置されているが、死に水放流決定により、取水口を四b下に下げて直接ずい道へ流すため、八日早朝からシリソダーゲートの引き揚げ作業が行われる。

 また、石淵ダムも最低水位を割って放水するのは建設以来はじめてのこと。標高三〇〇bから五〇a下げると十八方dの水が農業用水として使えることになる。現在、一日おきに毎秒八dの水が流されており、このままの状態が続くと十日午前中には最低水位に達する勘定。この後から最低水位以下の水を毎秒四dずつ放流し始めるがその間に流入する量を考えても一
日でなくなってしまうという。
























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