70年代の農業用水
「県農政審」需給計画を了承 岩手日報S53/11/12

 県農政部は、昭和七十年代を展望した農業用水需給計画をまとめ、十一日開かれた県農政審議会(八重樫利康会長)に諮り、了承を得た。来春までに策定される予定の県水資源需給計画に組み込まれるが、10年に1度の確率で発生すると想定した干ばつ年の供給体制も含め、七十年までには新たに7億三千四百万dの農業用水を確保しなければならないとしている。内訳は、水田の確保水量が四億八千七百万d、畑同二億三千九百万d、畜産用水八百万dだが、特に畑地用水は今後の畑作振興策に関連する新規需要が大半で、水源を河川に依存することは極めて難しく、農業用水専用ダムの建設なども必要だとしている。

畑地不足、専用ダムも
 同需給計画案によると、基準年次昭和五十年の水田用水需要量は二十七億五千九百万dで、七十年には二十七億八千七百万dと見込まれているが、用水不足地域では一億九千百万dの不足が見込まれ、これの確保対策が必要だとしている。また、渇水年対策として二億九千六百万dが必要だとし、合わせて四億八千七百万dを確保する考え。   
  
 畑地用水は五十年の二百万dの需要量が七十年には二億四千百万dに膨れ上がり、畜産用水も同五百万dが千三百万`に増える見込みだとしている。

 農業用水需給計画は、一昨年策定された県農業発展計画に五十五年目標、六十年展望で盛り込まれているが、その後の水田再編対策など農業全体の軌道修正に基づき、今回改めて同需給計画を見直す。

 農業発展計画は基本方向に変更はないとして、五十五年まで見直しをしない方針。
 今回の同需給計画案によると、水田は同発展計画で六十年に十万三千九百fとしていたものが九万八千四百fに減少、七十年も同面積と想定。用水量は、五十年より充足地帯で一億六千三百方d余るが、都市近郊の宅地化、畑作転換などの現象も勘案し、用水不転地帯の水田では逆に一億九千百万dの需要量増が見込まれる。さらに、同需給計画案では、新たに干ばつ発生の渇水年を十年に一回と想定して供給体制を整備することにし、水田の場合同不足地帯を中心に二億九千六百万dの供給量を確保する必要があるとしており、新たに合計四億八千七百万dが七十年までの必要確保量。

 このうち、七九%相当の三億八千六百方dは水田用水の反復利用、水路損失防止など効率的な水利計画による水利改善によって確保し、ダム開発で九千八百万d、その他ため池、河川利用などで充足する予定だ。

畑地用水は、県内の畑地かんがい整備が進んでいるのは五十年で約百八十fにすぎないが、七十年までには三万五百fまで拡大する予定で、二億三千九百万dの用水確保が必要。このうち五千五百fは、水田転換を見込んでいるが、県内河川の水利権は既に満杯の状態といわれ、今後新規需要増となるこれら畑地かんがい用水の確保は極めて難しい。このため、同需給計画案では、同用水確保のため多目的ダムへの積極参加もうたっているが、場合によっては農業用専用ダムの建設も必要―としており、新しい農業用水確保時代の到来を示唆している。

 このほか、畜産用水も家畜の飲料水その他雑用水を合わせ、五十年の需要量五百万dから七十年には頭数増に応じて一千三百万dに増えると見込まれ、不足分は河川上流水または地下水利用によって確保する。


























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