岩手県河川課との会見内容 申し入れ用件(1)ついて →申入書 簗川ダム事業の再評価が行われまして、昨年専門委員会の答申が出されました。その時には、一応事業継続という判断をされましたけれども、その中身は、「この場で事業を継続するか・しないかを長時間審議することは困難なので、とりあえず継続はするが、疑義が出てきた基本高水流量については、きちっと調べましょう」という主旨だったんですね。 その際に、座長(首藤委員長)の提案として、「4人ぐらいの専門家による委員会を作って、そこで検討してはどうか」という話だったんです。 ところが、その答申を受けて出てきた、県の対応方針は、「県が精査する」というものでした。これは考え方としておかしいと思います。 そもそも県の事業について公正に再評価できる、「第三者機関」の大規模事業専門委員会に諮問したわけです。そこが言う「専門家による精査をしなさい」というのは、県が自分で精査するのではなくて、「県が提案したことについて正しい判断ができる第三者による専門家の精査が必要」という主旨だと思うんです。 自分が間違っているかどうかを内部で調べるというのでは話にならないので、きちんと「精査する委員会」を作ってくださいということです。 申し入れ用件(2)ついて ただ、一旦対応方針を決めたのだから、メンツにかけても変えられないとがんばられるんであればですね、少なくとも「内々で調べて大丈夫でした」ではなくて、どういう疑問が流域懇談会などで出されていたのかをきちんと伝えて、一緒に議論できるように、公開でかつ意見を聴取するということができる形で専門家の意見を聞くということができるようにしてください、というのが(2)の主旨です。 ただ、あくまでも(1)が望んでいることであって、(2)は、どうしてもダメだというのであればと言う、予備的な要望です。 質疑応答 井上世話人 対応方針(1)「河川工学の専門家に確認していただいた後に、必要があれば追加検討を行う」ということですが、 「河川工学の専門家に確認していただく」という作業は現在行われているのでしょうか。 それと、追加検討を行うというのは見通しとしてどうなっているのか、専門家による確認と違う追加検討とは何を意味しているのかということを教えていただければと思うのですが。 河川課 本件のほうで、ネットワークさんのほうから1月19日に申し入れしていただきまして、2月10日にご回答申し上げまして、そのあと3月13日に、簗川ダムのホームページに「大規模事業評価専門委員会からの答申における付帯意見に対する今後の進め方について」という、県の方針をホームページにアップしているのですが、それをご覧にはなったでしょうか。それが回答になるかもしれません。 (書面に目を通す) 井上世話人 資料一式を確認いただいて・・・」ということですけれども、これで首藤さんに関しては「専門家の確認」というのは終わったということですか。 今後あらためて首藤さんに確認いただくことはないということですか。 河川課 今までの分ということですか。 井上世話人 今までの分というか、ここの対応方針で書いてある「河川工学の専門家に確認していただく」という部分ですよ。その作業はこれで終わっているということですか。 県回答 いや、今後もこちらで検討した内容についてはご指導を受けながら継続することにしてます。 加藤世話人 結論がまだでていないということですか。 河川課 答申を踏まえた県の対応方針(1)は、これまでの分は首藤先生に確認していただいたので終わりです。 ただし、これまでの検討資料が十分であるのであればここで終わりなんですが、もっとこうしたほうが良いねという指導をいただいたので、それを踏まえてBの追加検討を行うということです。 井上世話人 3−@については「首藤さんが言った」ことになっていますが、これについては首藤さんに確認をとったのですか。 「県が行っている基本高水流量の決定手法は最新の河川砂防技術基準に照らしても妥当であること、基本高水流量780m3/sについては県内の他の河川と比較しても概ね妥当であること」とありますが、ここの文章を見ますと「照らしても」と使っていることは、「最新の基準でも妥当だし、旧基準でも妥当だ」、そういうふうに日本語的には読めますが、そのようにおっしゃっていましたか。 河川課 そのような日本語の確認はですね、そこまではしていないと思いますけれど。 井上世話人 「そこまではしていない」とは何を意味するのですか。 河川課 この文章は見ていただいています。我々は従来の河川砂防技術基準に則って、基本的には進めてきております。それでやってきたわけですけれども、最新の河川砂防技術基準が平成17年11月に改正されましたけれど、それと照らしても妥当だと・・・ 井上世話人 「照らしても」っていうのはそうじゃないんじゃないですか。「新しい河川砂防技術基準に照らせば妥当になってしまう」、こういうことじゃなかったですか。 旧基準に基づいて検討した場合に、妥当かどうかということは言ってもらいましたか。 河川課 従来の基準には曖昧さがあったわけですが・・・ 井上世話人 要するに、「従来の基準に照らせば妥当である」という判断はされていないわけでしょう?首藤さんは。 河川課 従来の基準に照らせばどうかということは、特には言っていないです。 井上世話人 「従来の基準に照らせばどうか」ということは判断してもらっていないということですね。この文章は「最新の河川砂防技術基準に照らしても妥当」だから、「以前の基準に照らしても妥当だ」と。そういうふうにしか読めないんですよ。これは誤解を呼ぶ文章だと思います。 かつ、首藤さんが言われた主旨とは違うのではないですか?ちょっと具体的に言いましょう。最新の河川砂防技術基準で何が変わったかと言ったら、基本高水流量の設定にあたって、原則的に「流域の雨量から計算していって、いくつかの降雨パターンの中から一番高いやつを選ぶ」ということでしょ。以前はそうではなかったわけですよ。 で、そこのところが変わったから、それを使えば妥当になる、そういう話でしかないでしょ。 河川課 首藤先生にこの文章を確認していただいたことと、答申の時にコメントいただいた内容を踏まえて・・・ 井上世話人 答申の時のコメントって何なんですか。 河川課 基本に基づいてやっている。概ね妥当である、という話をしていただきました。 井上世話人 答申の時とは何の時を示しますか。専門委員会の時の発言ではないのですね。 河川課 (専門委員会の時の発言の後に)ここに確認作業が入っているわけですよ。確認というか、委員会の時に「簗川流域懇談会治水小委員会の資料一式用意してください」といった発言がございまして、首藤先生にお送りし、一応全部見ていただいたということがあります。 井上世話人 そもそも「見せてください」という話は、大規模事業評価専門委員会での発言ですね。 「堺さんを通じて、これまでの検討資料を持ってきてくれ。それで説明してください。それで、場合によっては今日発言した人も含めてお聞きしましょう。」という話だったんじゃないですか。その「発言している人」とは、私も含めて専門委員会で意見聴取した人のことです。 その後何の話もなくてですね、県が勝手に自分で都合のいい資料だけ持っていって、これでどうですかといって、良いですよって聞いてきたという、それだけの話じゃないですか。 河川課 堺先生を通じてという話は、うちの佐藤総括課長がお話ししたんですが、その後堺先生が首藤先生とお話しして、「県でやって良いよ」という話になったんです。あとは、「場合によっては」他の人も入れてという話がありました。 井上世話人 要するに無視されたわけですね、県のほうが。 これで回答だというわけですか。この書面が。 河川課 回答というか、今後の進め方を県はこのように考えているということです。 井上世話人 大規模事業評価専門委員会の場では、基本高水流量の計算の仕方について、これできちっとできているとは思えないという認識があったから、再度きちっと点検しましょうという話だったじゃないですか。その点検の仕方というのがオープンにされていないわけです。 要するに、県の担当者と個人である専門家との間でどういう話をしているのかということは、一般にわからない状態で行われていて、「それで良いよ」と言ったという話で進んでいるわけです。 それでは点検にならないんですよ。どうしますか、オープンにするために。 それから、治水小委員会の資料を渡しましたと言うけれども、治水小委員会でいろんな疑問点を出してきた当事者の生の声っていうのは聞いていないはずですよ。それで専門家が判断するっていうのはおかしい。どうしましょう、これから。 河川課 堺さんは流域懇談会や治水小委員会などで直接聞いています。 井上世話人 堺さんはね。首藤さんは違いますよ。 加藤世話人 民主主義の原則的なルールだと思うんですけれど。「大規模事業評価専門委員会をなぜ設置したのか」「なぜ会議でやるのか」ここが一つのポイントだと思うんです。 県でやっていることが良いのかどうか、一人一人別個に説明して、それで良いですよってなったら、いちいちこういう委員会を造らなくてもいいということになりますよね。 「県民に開かれた行政を進めていく」「いろんな人の知恵を活かしてより良い事業を進めていく」「ダメなものはやめていく」っていうことを取り入れるためにこの制度を作ったと思うんです。だから、これは会議でなければダメだと思うんです。 そして、会議である程度決まったことについては、やはり会議で「変わるなら変わる」「進めるなら進める」とやって行くのが、民主主義のルールだと思うんです。 今の県のやり方は、このルールからちょっとはみ出してきてしまっているので、もう一度レールに乗せ変えてくださいということです。 専門委員会では、「精査するための委員会を作りましょう。どうですか」という提案が首藤委員長からありました。 あれが会議の決定事項なのか、個人的な意見を表明したのかという判断はあると思いますが、まとめとして首藤委員長がああいうことを言って閉会になった、あるいは事業継続の結論に至ったというのは、かなり重い位置付けになるのではないでしょうか。 本来は、行政に携わる人達は、「その委員会の要望に対してどうやって答えるか」という視点で物事を進めていくのがルールだと思うんです。個人個人に話すのはいっこうに差し支えないですけれど、決定を段取りで進めていくのであれば、民主主義のルールに従うべきではないのですか。 だから、専門家が一人もいないと、だから専門委員会が作れないというのであれば問題ですけれど、可能性が無いわけではないのですよね。 本来、あの提案を受けたら、基本的に県は、専門委員会の設置について努力をするというのが、民主主義のルール上の行動ではないかと思うんですが、どうもそうなっていないようなので、是非ご再考願いたいということです。 河川課 わかりました。 井上世話人 具体的に頼みますよ。今検討しているわけですね、流量データ等について。 B「上記の検討は概ね平成18 年6 月を目途に行ない、その間、首藤、堺両教授に適宜指導を受けることにしています。」とありますが、「首藤、堺両教授に適宜指導を受ける」とはどういうふうにするんですか。それはオープンにしてください。 河川課 それを含めて、こっちに書いてあるので、回答・・・ 井上世話人 今までその指導っていうのは受けているんですか。これを出した後で。 河川課 はい。やり方としてはですね、お互いに手を挙げて「じゃ、伺います」とか「来てください」と言ってやるんですけれど、 井上世話人 ですから、この「専門家の指導」とか点検というのが、いわば私的な形で行われているわけですよ。会議ではないし、公開もしていないし、記録も取っていない。 これは単に、私的な相談であって、県の行政事務として行われているとは受け止めにくいんですよ。 だから、ちゃんと公開をして、記録を公表してやってください。これは最低限の行政義務ですよ。ということも含めて、今日の申し入れの(2)というふうに理解してください。 河川課 わかりました。 |