文責者m.jによる簗川ダム研究
 度々変わる県の説明
自動車教習所は河川区域ではないのか?


以前の教習所の扱いは?


 以前岩手県河川課に北上川合流点右岸の自動車教習所について質問したところ、教習所は堤外民地であるとして想定氾濫区域には含んでいないという回答を、口頭で受けました。

 

            (簗川橋から撮影)

 平成14年の流下能力図では、下流0〜800m区間は流下能力800トンと記されています。(簗川ダム治水調査H14より)
 
 つまり、教習所は浸水防止区域として考えていなかったと思われます。
 ところが、簗川流域懇談会に配付された資料では、教習所付近(右図の左上部分)は流下能力が不足している区間となっています。(第4回治水小委員会資料
 また、その流下能力は河川改修340トンを下回ることになっています。
 

 第6回懇談会の説明でも、「河川区域ではなく浸水防止を考慮している区間である」という説明がありました。



 ☆ 第6回資料では右の資料から再度内容が変更しており、教習所区間は築堤と表記が変わっています。




それならば浸水を防止するつもりはあるの?
 台風6号による堤防浸食部分の災害復旧図面によれば、計画水位は教習所前の堤防高よりも高く、計画自体が教習所浸水を許容していることになります。

 つまり、「河川区域ではなく浸水防止を考慮している区間である」は説明だけで実態が伴っておらず、これは現況河川による想定氾濫区域の縮小をこうした部分を想定区域に含めることによりカバーしようとしているためではないでしょうか。
災害復旧工事図0k195m地点

 ☆ ちなみに左岸堤防には計画水位の上の余裕高を流下能力に考慮すれば、
    800トンを越えておりダムに頼る必要はありません。
 右写真は下流左岸堤防の災害復旧工事の地元説明会(05/07/08)でのものですが、上図の工事図面と同じです。
 計画水位とは、簗川ダムで調節後の洪水が下流に到達した際の水位です。

☆説明によれば、浸食があった箇所が再度危険になることはないとのことですが、他の区間(200〜800m)に関しては未着手の状態です。


北上川からの逆流を示唆する計画水位
 ここでもう一つ言えることは、計画水位は340トンの改修目標をはるかに上回っていることです。
 台風6号の葛西橋地点(0k875m)流量は、毎秒335トンであり、葛西橋より下流であるこの堤防を流下した時点でも同じ程度であったでしょう。
 上写真の説明では、台風6号災害水位は計画水位より1.6m低いのですから、計画水位は340トンよりかなり上回っていることになります。
 この付近は、北上川からの背水の影響を受けることが知られており、計画水位にはあらかじめその影響が考慮されているのではないでしょうか。(今後県に対し説明を求める予定)
 だとすれば、台風6号時の堤防浸食は、単純に上流にダムを造れば防げるというものではなく、流下する量を調節しただけでは増水は防げないことになります。

 このことから、ダムを造れば堤防の強化は必要なくなるわけではなく、ダムを造る造らないに係わらず堤防強化は必要だということになります。                
→ 堤防強化はどれくらいの費用で可能か?
 ダムに比べて格段に安く、地元を確実に安全にするのですから、左岸0〜800m区間の堤防強化は早期実現するべきでしょう。
 また、ダムを造っても水害が全くなくなるわけではないことを改めて認識し、ダムにとらわれない効率の良い治水計画に移行するべきです。



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