文責m.j
<簗場・中村観測所資料から その1>
流域ごとの水位観測資料からの新たな発見

−事の発端−

 04年7月31日に行われた国土問題研究所による簗川治水対策報告会での一幕です。

会場から
「2つの支流のピーク時刻の調査を実際にやっているのか?もししていないのであれば、きちんとやって根拠を出すべきじゃないのか」

若林課長(岩手県河川課河川開発担当)

「簗川上流の方に中村という水位観測所があります。水位です。これは。それから、根田茂川の中流部に簗場という水位観測所があります。かなり上です。過去の洪水時のピークを調べているんですが、簗川上流部が早い時刻に(洪水が)発生する傾向がありますが、なかには逆転している洪水もありまして、それぞれの流域の雨の降雨の分布の影響であるというふうに考えています。
 
早速その真意を確かめてみました。



−両観測点の位置は?−

 簗場観測点は平成7年から観測が開始され、宇曽沢観測点からの距離は9.9kmです。
 中村観測点は平成8年から観測が開始され、宇曽沢観測点からの距離は6.9kmです。
 黒い川は簗川、青い川は支流根田茂川
流域T−赤の部分35.1km2、流域U−緑の部分82.1km2、
流域V−黄色の部分31.1km2

中村流域面積(赤の)19.1km2、簗場流域面積(緑の)64.9km2

 ダム事務所から取り寄せた両地点の水位資料からは、とても有意義な検証結果が得られています。近日中にHP上で公開しますのでご期待下さい。

 ところで、どうしても腑におちない点が一つだけあります。


−両観測点はなぜいまごろ設置されたのだろうか?−

 簗場・中村両観測点の設置場所はダム湛水地点を避けています。下の位置図を見ればダム湖と並んで記されていますので明らかでしょう。

 もし、この観測点の目的が治水報告会で県が述べたように、簗川本流と根田茂川支流のピークのずれを見極めるためであるならば、2河川の合流点付近で観測したほうがより正確なデータを得られるわけですから、ピーク時間の観察が目的だというのは疑問です。
 これまでの経緯を見ても、ダム事業者が市民の訴えに耳を傾け計画を見直すべくピーク時刻を観測し始めたとはとても思えません。

 むしろ、両観測点の設置年が付け替え道路工事も進展している状況になってからだということを考えれば、両地点の観測データは、ダムが完成した後に必要になる性質のものだと推測されます。

 ダムが出来てからも観測を続ける必要があるものとはいったいなんでしょう?


−両観測点は砂防ダム候補地点?−

 これはあくまで推測に過ぎませんが、先日行われた傍聴者からの意見を聞いていて、その謎が解けたように感じました。
 
ダム湖建設予定地上流に大小の河川がある。ダムの堆砂を防ぐため将来、治山・砂防ダムが続々と建設されることになる。それによって、水生生物は絶滅にむけて追いまれる。
 
 この意見を聞いて簗場・中村での観測の理由を以下のように推測します。
 「簗川ダム事業者は将来起こるであろうダムの堆砂問題に備え、堆砂に関する調査を簗場・中村地点においてもうすでに行っている。」
 
 このように考えれば、今ごろになってダム湖より上流で調査を始めた理由が見えてくるように感じます。
 平成12年完成の早池峰ダムは、4年経った現在で既に砂防ダムが林立している状態です。
ダムの上流はどうなるか?「早池峰ダムの場合」

 平成15年度の簗川ダム計画書には、身代わりダムと称して根田茂川上流の砂子沢地区に利水専用のダムを検討しています。(現在開示請求中)

 先の論断投稿者が危惧する状況は、既に起こりつつあるのです。




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