ダムが造り出す水害地域 ダム上流部


下はダムの堆砂作用の進行を図にしたものです。灰色がダム提体、赤が上流から流れ込む土砂です。

堆砂は進行すると河川上流部の川底を浅くしていき、最悪の場合、上流38q地点まで土砂が貯まってゆきます(背砂作用)。またダム湖の水が周囲に浸透し、その地域は土砂崩れなどの常習地区になります。

簗川ダムが完成した場合、上流部の簗川・根田茂・砂子沢などの地区は水害常習地区になる恐れがあります。


ダム堆砂とその影響 国土問題研究会発行「国土問題64号」より

 ダム湖の上流端では河川流の幅と深さが急に大きくなるので、流速が急減し、流れが運んできた土砂が堆積する。体積は下流(ダム湖内)に向かって進行するが、堆砂にともないダム湖上流の河川の勾配が低下し、それが新たな土砂堆積を呼ぶことになるため、堆砂の影響は河川上流に向かって果てしもなく進行する。このような現象を背砂と言う。
 ダム建設計画時にはダム湖底に堆砂容量をとるが、堆砂はダム湖上流端から進展してゆくので、ダムはできると同時にその有効容量を逐次減らしてゆく。
 ダムより上流部の河川では河床が上昇し、水害常習地となる。ダムより下流部では、河床低下により河川構造物(護岸、橋脚など)が損傷する。河床低下河川では砂礫堆(砂州)が消滅するので河川の環境が悪化する。堆砂の影響は海にまで及び、海岸浸食、白浜・干潟の現象、海底土砂の現象などの被害がもたらされる。堆砂によりダムはいずれは巨大廃棄物になる。
 堆砂はその中にヘドロを多量に含むため、建材としては使えず、またその量が膨大であるため、搬出することも困難である。堆砂を除去するため、黒部川出し平ダム宇奈月ダムではダム提体に背砂門を設けて堆砂を下流に押し流しているが下流河川と沿岸の環境破壊が著しい。

堆砂で寿命を終える石淵ダム

岩手県胆沢郡胆沢町にある県営石淵ダムは昭和28年に竣工されましたが、2015年完成予定の胆沢ダムにより、わずか50年で水没することになっています。県はその理由を容量的な限界と説明していますが、ダムに貯まった土砂がかくれた大きな原因です。

石淵ダム


堆砂問題が深刻な例 (国土問題研究会発行「国土問題64号」より)

水内ダム(長野県信濃新町) 水害を巡って地元と東電との間の紛争、東電は補償。

塩郷ダム(静岡県中側根町−大井川) 河川は洪水の通路化。堆砂による河床上昇と上流の発電ダムによる取水で河道は河原砂漠化。水害も頻発化。

裾花ダム(長野県裾花川−県管理ダム) 堆砂が予測の2.5倍の速度で進行


−HP検索より−
佐久間ダム
http://www.thinkjapan.gr.jp/~omoigawa/OmoigawaTsushin/OmoigawaTsushin34.html

魚川ダム
http://www.tomamin.co.jp/2000/tp000725.htm


直轄・水資源公団ダムの堆砂状況(緒方さんが示した試案)

年平均堆砂進行速度
■■■■■10倍以上 02ダム(002.4%)
■■■■■3倍以上〜10倍未満 07ダム(008.4%)
■■■■■2倍以上〜3倍未満 07ダム(008.4%)
■■■■■1倍以上〜2倍未満 33ダム(040.0%)
■■■■■1倍未満 34ダム(041.0%)
合 計 83ダム(100.0%)
堆砂速度が3倍以上のダム(*印は水資源公団) 管理開始年度
二風谷ダム(北海道)■■■■29.7倍 1998年
日吉ダム(京都)*■■■■■11.7倍 1998年
味噌川ダム(長野)*■■■■08.9倍 1996年
川治ダム(栃木)■■■■■■04.0倍 1984年
漢那ダム(沖縄)■■■■■■04.0倍 1993年
漁川ダム(北海道)■■■■■03.8倍 1981年
柳瀬ダム(愛媛)■■■■■■03.7倍 1953年
横川ダム(岐阜)■■■■■■03.2倍 1964年
阿木川ダム(岐阜)*■■■■03.1倍 1991年
注)国土交通省提出資料から作成
緒方靖夫HPより
http://www.ogata-jp.net/action/action_21.htm


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